耳よりだより

2019年08月02日

65歳未満でも介護保険が使える 「特定疾病」をご存知ですか?

介護保険は介護が必要な状態になったときに、
介護保険サービスを費用の一部負担により受けられる制度です。
65歳以上の方が対象ですが、疾患が介護保険制度の定める「特定疾病」である場合、
65歳未満でも介護申請を行うことができます。
ここでは特定疾病とは何か、どんな病気があるのかご説明します。



特定疾病ってなに?

介護保険の被保険者は、第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40から64歳までの医療保険加入者)に分けられています。

第1号被保険者は介護や日常生活の支援が必要になった場合、原因を問わず、要介護認定や要支援認定を受け、

介護保険サービスを利用することができます。

一方、第2号被保険者は、かかった疾患が介護保険制度の定める特定疾病である場合、介護保険サービスを利用することができます。

特定疾病について、厚生労働省では

「心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病」

「加齢に伴って生じる心身の変化に起因し、要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病」

と定義しており、具体的には以下の選定基準が示されています。

(1) 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、

罹患率や有病率(類似の指標を含む)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。

(2) 3~6ヵ月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。  

※厚生労働省「特定疾病の選択基準の考え方」より



特定疾病に認定される病気とは

介護保険は加齢によって心身の機能が衰え、日常生活に支障が生じた人に介護サービスを提供する制度です。

そのため、特定疾病も基本的に老化に関連する病気が対象となり、介護が必要な状態でも、老化が原因でない場合は介護保険の対象外となります。

厚生労働省が特定疾病に認定しているものには以下の16の病気があります。

(1)がん ※
医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態(余命6ヵ月程度)に至ったと判断したものに限る。

(2)関節リウマチ ※
自己免疫の働きが手足の関節を侵し炎症や変形をもたらす病気。
自覚症状の有無や臨床結果などから判断。

(3)筋萎縮性側索硬化症(ALS)(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)
重篤な筋肉の萎縮と筋力の低下をきたす神経変性疾患。
基準となる症状の有無などで判断。

(4)後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)
脊椎椎体後面を上下に走る後縦靱帯の骨化(骨組織に変化)が原因の病気。
知覚障害や運動障害の症状により判断。

(5)骨折を伴う骨粗鬆症
骨の強度が低下し、骨の変形、骨性の痛みが生じるほか、骨折の原因にも。
腰椎骨の密度や脊椎の状態などが認定基準に。

(6)初老期における認知症
若年性認知症といわれる40歳から64歳で生じる認知症。
アルツ八イマー病、前頭則頭型認知症、血管性認知症、レビー小体病、クロイツフェルトヤコブ病など。

(7)進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 ※
いずれも運動機能に障害が生じる疾患で、パーキンソン病関連疾患と呼ばれる。
症状の進行具合などにより認定。

(8)脊髄小脳変性症
小脳や脊髄に異変が起こることで発症。
歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らない等の症状と医師の診断を総合的に判断。

(9)脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
脊椎内部にある脊柱管が狭くなって神経が圧迫され、間歇性跛行(かんけつせいはこう)や歩行困難などが生じる。
狭窄部分の画像確認や症状の因果関係等で判断。

(10)早老症
体細胞分裂時の染色体が不安定になり、老化現象が早期に引き起こされる病気。
発症年齢や症状などをもとに判断。

(11)多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう) ※
オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、 線条体黒質変性症の3種類に分類される神経変性疾患の一種。
特有の症状の有無などで判断。

 (12)糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
糖尿病の進行により生じる神経障害、腎症、網膜症の合併症がある場合。

(13)脳血管疾患
脳梗塞と脳出血、クモ膜下出血などの脳疾患。外傷性でなく老化が原因であることが条件。

(14)閉塞性動脈硬化症
動脈硬化に伴う血管の病気。
腹部大動脈抹消側、四肢の主幹動脈、下肢の中等度の動脈等に閉塞がみられたり、間歇性跛行、潰瘍、壊死等がみられることが条件。

(15)慢性閉塞性肺疾患
慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎。
気流閉塞の有無が認定の判断基準に。

(16)両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
膝関節または股関節が加齢により変形する病気。機能障害や痛みの程度、レントゲン検査の結果などで判定。

※印は平成18年4月に追加、見直しがなされたもの



要介護認定を受けるには

特定疾病であるとの認定を受け、介護保険サービスを利用する場合は、市区町村の介護保険担当窓口に行き、要介護認定の申請を行います。


その際には

・要介護認定申請書

・主治医意見書(疾病の状態などについて書かれたもの)

・医療保険被保険者証(65歳以上の場合は介護保険被保険者証)

・印鑑

が必要となります。


申請後は、市区町村の職員など認定調査員が自宅を訪問し、

心身の状態や生活環境について聞き取り調査を行います。

その後、コンピュータによる一次判定、一次判定と主治医意見書を総合的に判断する二次判定(介護認定審査会)が行われ、原則30日以内に認定結果が通知されます。

認定結果についての不服や、認定期間中に状態の変化などがある場合は、改めて申請することができます。




保険の受給は手続きが煩雑で大変…と思われるかもしれません。
でも要介護認定を受けると、給付限度額内なら介護保険サービスを1割負担(※)で利用できるなど、
さまざまな支援が受けられ、本人にもご家族にとっても大きな支えになることでしょう。
ちなみに、特定疾病以外の原因で介護が必要になった場合、介護保険ではなく障害者総合支援法の対象になります。
いずれの場合も、介護が必要と感じたら、まずはかかりつけ医や担当窓口に相談してみてはいかがでしょう。
※年収などにより2割以上の負担となる場合もあります。