耳よりだより

2017年10月25日

福祉用具を適切に利用しよう!1:福祉用具を検討するタイミング
~手すり・杖・歩行器~

 10月1日は、平成5年の福祉用具法の施行日にちなみ「福祉用具の日」とされています。
高齢者や障害者の自立に役立ち、介護する方の負担を軽減する福祉用具ですが、お元気なうちにはなかなかなじみが少なく、いつごろから使用すればいいのか、使用することでどのような効果があるのかと思われている方も多いと思います。

 今回は、ご自宅で生活されている方にも身近な福祉用具である「手すり」と「歩行補助具(杖・歩行器)」についてご紹介します。



手すり

身体に不自由がなく若くて健康なときには、立ったり座ったり移動したりといった日常動作に手すりなどを使用する必要性はほとんど感じることはありません。
しかし、加齢や疾病などで身体機能が低下した高齢者や、不慮の事故などにより身体が不自由になった障がい者にとって、手すりは転倒を予防し家屋内を安全に移動するために欠かせないものです。


手すりには福祉用具の手すり住宅改修の手すりがあり、どちらの手すりがより適切かは、お住まいやお身体の状況によって異なります。

福祉用具の手すりは取付けの際に工事を伴わず、床面があればどこにでも設置できるため、比較的自由な動線デザインができ、微調整や取り外しも簡単に行えます。

介護保険でレンタルできるものが増えており、すぐに設置・移動・撤去できるという利点もあります。

ただし、お身体の状態によっては固定性や安定性に不安が残る場合もあります。


住宅改修の手すりは、壁や柱に設置するので、主として部屋や廊下の周辺を通る動線に対応します。

設置後の安定感は非常にありますが、壁や柱が無い空間には設置がしづらく、壁の下地の状態によっては目的とする場所に設置できないことや、補強を必要とする場合があります。

一度設置したものを取り外したり微調整したりすることは難しいため、お身体の状態の変化に対応することが困難です。

また、申し込みから完成までに時間を要するため、急な対応が困難です。


手すりは日常の立ち上がり動作を助け、自力で歩いて移動するきっかけをつくります。

立ち上がった後、手すりを持ったまま立ち姿勢を保つことができ、手すりを持ち変えることで体の向きを変えやすくなります。

長さのある手すりなら、持ったまま前に進むことで移動がラクになります。

ふらつきなどがあっても、手すりを握る力があれば、転倒の予防につながります。


なかなか立ち上がれなかったり、立ったときの姿勢がふらついて安定しないと感じるようになったら、手すりの設置を検討する時期かもしれません。

まだまだ元気で手すりなど必要ないと思っていても、無意識に壁や家具に手をついて壁の一部分が汚れているような場合は要注意です。



わたしたち人間は、「歩く」という動作をごくごく当たり前のこととして生活しています。

加齢や疾病、障害などによって歩くことや立ち上がることが難しくなったときにも、何とかして歩けるようになりたいと思う人が大多数です。

バランスや体力などの低下によって歩行が難しくなってきた場合でも、杖や歩行器などの歩行補助具を適切に使用することで安定した歩行を行える場面が増えます。


杖を使うことに対して心理的な抵抗感をお持ちの方も多いかと思いますが、「転ばぬ先の杖」という言葉もあるように、元気なうちから杖を使うことでより活動的な生活を送ることができます。


杖には一本杖や先が複数に分かれている多点杖があり、多点杖は介護保険でレンタルできるものもあります。


杖には、免荷・バランスの補助・歩行リズムという3つの役割があります。

免荷…歩行時の痛みがある場合、杖に体重をかけることで膝や股関節への負担を減らします。

バランスの補助…3本目の足として体のバランスを補ってくれるので、安定した歩行が可能になります。また、バランスを崩したときの支えにもなります。

歩行リズム…歩行が不安定になると「1・2・1・2」という二拍子のリズムで歩くことが難しくなります。杖を使用して「1・2・3・1・2・3」という三拍子のリズムでゆっくり歩くと、常に2点で身体を支える安定した歩行になります。


広く普及しており街中でもよく見かけるT字杖は、介護保険でのレンタルはできませんが、お好きな色や柄を選ぶことができ、種類もコンパクトに折りたためるものから高さの調整が出来るものなど様々な商品が売られています。

T字杖は“バランスの補助”が主な役割で、体重をかけることが目的の杖ではありません。

また、T字杖には
A)一本杖
B)高さ調整ができる杖
C)折りたたみ杖

があり、強度はA→B→Cの順になります。折りたたみ杖は内部がゴムになっているので日常使いには不向きです。

 

片足立ちがしにくくなってきているようであれば、T字杖を用意してもいい時期かもしれません。

足元が不安な方はもちろん、元気な方でも長い距離を歩くときには杖を併用すると歩行が楽になります。

ただし、杖先のゴムの減りには要注意!

靴底と同じで、歩行時の癖で杖の先ゴムも「片減り」します。

片減りしたまま使い続けると、膝や股関節、または腰などを痛める恐れがあるだけでなく、転倒のリスクも大きくなります。

ゴムのすべり止めがきかないと、特に雨の日の店舗やマンホールなどすべりやすい場所での思わぬ転倒につながります。

先ゴムは定期的に点検し、必要に応じて交換するようにしてください。



歩行器

歩行器は、杖では歩行が不安定な場合や、逆に杖歩行に移るためのリハビリや歩行訓練でもよく使われています。

杖は1本の細長い足で体を支えるのに対し、歩行器は体を囲むような作りになっているため、数本の足でバランス良く体を支えます。

また上半身を歩行器に預けることによって転倒を防ぎ、足腰にかかる負担を減らしながら歩けるようになります。


歩行器には、足にキャスターが付いているものや、左右を交互に動かせるもの、電動アシスト機能つきのものなど、お身体の状況に応じてさまざまなタイプが用意されています。

また室内用の歩行器と屋外用の歩行器があり、屋外用の歩行器には休憩用の座面や荷物入れがついているものもあります。

歩行器ではひじや手などの上半身を使って体重を支えますので、使用する場所や目的、お身体の状態によってどのタイプの歩行器が適切かを慎重に検討する必要があります


歩行器は使い方を誤ると、バランスを崩し転倒してしまうこともあります。

使用されるご本人だけでなく、介護をされる方やご家族も正しい使い方を理解する必要があります。

しかし、歩行器は単に歩行をサポートするだけの介護用品ではなく、自宅に引きこもりがちな高齢者の活動範囲を広げ、心身の健康を維持・回復する大きな役割を果たしてくれるものです。

自分で歩くことができれば、自立した生活ができ、また寝たきりになるリスクを低減したり、歩行機能や体力が衰えるのを防ぐことができます。




福祉用具には、介護保険を利用してレンタルや購入ができるものもあります。
詳しくはケアマネージャーや福祉用具専門相談員にご相談ください。

次回は、「車いす」と「介護用ベッド」についてご紹介します。